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しかし甘い色の髪も鳶色の瞳も、
形のいい薄い唇も。
気づけば博雅とよく似ていて。
全体が醸し出す雰囲気は、
薫の方が甘やかで儚いけれども。
「……晴明?」
自分達をまじまじと見つめる晴明に、
博雅が困惑した声を出した。
「あ、
いや……なんでもない」
自分でも無意識のうちに、
博雅に似た姿を式神に与えてしまったらしいと悟って。
晴明の唇に苦笑が浮かんだ。
「薫、
俺にも酒を」
薫が立ち上がり晴明の脇に侍る。
博雅はやっと息がつけるような気がした。
なぜか自分でも分からない。
ただ、
薫の存在が……自分の中に不安を呼び起こす。
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