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盃を唇に運ぶ博雅の眉が、
知らず寄せられた。
昇ってきた月を眺めながら、
二人は無言で盃を干していた。
薫が動くたびに、
小さな金の花が散る。
その耳元に花がついているのに気づいた晴明が、
指を伸ばして掬い上げた。
頬に触れる晴明の手に、
薫が切れ長の美しい目をうっそりと閉じる。
伏せた右の瞼にある小さな黒子までが博雅と同じ位置にあるのに気づき、
晴明がどきりとした。
長い睫が目元に落す翳、
軽く閉じられた唇の線の柔らかさ。
薫の甘やかな風情が……博雅が情を交わした後はこんな風なのかと、
晴明にふと想像させて。
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