貧乏と情欲のあいだ

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「陽色、そんな精神だけでDの神力もほとんどない邪魔なだけの色魔、相手にしなくていいわ」 「てへ♪」 「そこは否定しないんだ……」  ウザい。やっぱ限りなくウザいわコイツ……要らねぇ。 「そうだ陽色、ちょっと聞いておきたいんだけど。あんた人間界での生活費は任務の報酬で賄えてる?」 「え……っ」  いきなり妃ちゃんがデリケートな問題に突っ込んできた。  天界からの依頼の報酬は、その難度に見合っただけの神力や下界で使う金銭として支払われる。  コッチでの経費込みなので、次の依頼の活動資金を踏まえて神力と金銭を半々くらいで受け取るのが普通なのだが。 「ええと……俺は元々の報酬が少ないから金銭9、神力1にしてるんだ。それでも足りなくてコンビニでバイトもしてる。今日も昼からシフト入ってるし」 「神力1ぃ!? ……あそ」    それきり特に掘り下げることなく、妃ちゃんは家のキッチンや風呂場などをブラブラと確認し始めた。 (そう言えば、今日こそ光熱費と水道代払わないと。そのつもりで昨日、金下ろしたんだっけ)  俺は立ちあがって、カーテンレールに掛かってる制服へと向かった。 (……あれ?)  ジャケットの内ポケットに入れておいた金が見当たらない。 (おかしいな。絶対ここに…………ああっ!?)  俺は青くなって、思い切り内ポケットに手を突っ込んだ。
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