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二人とも、何か悪い魔法にでもかかってしまったのだろうか。
けど、そうではなかったらしい。その理由はコウキさんのお友だちのフィルさんが教えてくれた。
「コウキはミコトが、ナルさんはクウさんが……あまりに可愛らしくて、見惚れてしまったのですよ」
すぐにコウキさんが真っ赤な顔をして「違う!」と否定した。
そして、ミコトさんを見て、さらに真っ赤になって、「いや違うくはないけど、そうじゃなくて……」と頭を抱えてしまった。
「好きな女の子が可愛くなると、男の子は嬉しいのよねえ」
と、コウキさんの左でショーコさんが言う。
「だから、違うって!」
「おや。先程、違うのではないとおっしゃっていたではありませんか」
と、コウキさんの右でフィルさんが言った。
「その違う、そういう意味じゃなくて……」
「じゃあ、どういう意味のなのかしら?」
「そこのところを詳しく教えて頂けませんか?」
「そ、それは……」
フィルさんとショーコさんがコウキさんの両脇を固めて、問い詰める。コウキさんは何か言おうとしたけど、さらに顔が真っ赤になって、黙ってしまった。
「反論なしなら、ミコトちゃんが可愛くなって、コウキくんは嬉しいってことで決まりね」
「ということになりますねえ」
ショーコさんとフィルさんが笑い合う。
コウキさんは何も言わず、イチゴみたいに真っ赤になって、テーブルに突っ伏してしまった。
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