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一方、その向こうではアルトさんがカリナさんの隣で、
「カリナ、可愛い! すげー可愛い! めちゃくちゃ可愛い! 超可愛い!」
とカリナさんをいっぱい褒めていた。カリナさんを見るアルトさんは自分のことのように嬉しそうだったけど、カリナさんはとっても嫌そうな顔をしていた。
「いやー、こんなに可愛いカリナを見られて、俺は幸せだなあ」
「……あっそ。その幸せを使い果たして、不幸になればいいのにね」
「いいや、俺は不幸にならない! むしろ幸せになった! ナルも可愛いクウちゃんを見られて、幸せだろ?」
アルトさんにそう聞かれて、それまでクウさんを見て動かなかったナルさんがはっとして、慌ててクウさんから目をそらした。
「い、いや、僕は……」
クウさんは悲しそうに笑った。
「この服、わたしには似合ってないですよね。だから、ナルが幸せになれることなんて……」
「そ、そんなことない!」
いつも冷静なナルさんには珍しく、大きな音を立ててイスから立ち上がった。そのナルさんの様子にクウさんはびっくりした顔をしていた。
「ナル?」
珍しく動揺しているナルさんと、びっくりした顔のクウさん。しばらく、二人はお互いの顔を見ていた。
先に話したのはナルさんだった。
「……その、すごく似合っていると思う」
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