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小さな声だったけど、クウさんにはちゃんと聞こえたようで、
「すっごく嬉しいです!」
ぱあっと満面の笑顔になった。今のクウさんの笑顔はみんなを笑顔にする笑顔じゃなくて、幸せそうな笑顔だった。
「……って、わたしが嬉しいってダメですよね。ごめんなさい!」
ぺこりとクウさんが頭を下げる。
「いや、別に謝らなくても……」
「わたしもいつかカリナ姉みたいに素敵に服を着こなして、ナルを幸せに出来るように頑張ります!」
「いや、その頑張らなくても……」
「でも、わたし、カリナ姉みたいに服を着こなしていませんし……」
「……その、今のままで十分……可愛いから」
ナルさんは困っているみたいけど、カリナさんが可愛くなって嬉しいアルトさんのようにクウさんが可愛くなって嬉しいらしい。そしてなぜか、コウキさんと同じく顔が真っ赤だった。
コウキさんも、ナルさんも、アルトさんも男性の皆さんは好きな女性が素敵な服を着て、嬉しそうだった。
もし、わたしがクウさんたちみたいに素敵な服を着て可愛くなったら、トラネコさんもコウキさんたちみたいに喜んでくれるかな。
……って、わたしはまた何を考えているんだろう。
トラネコさんとずっと一緒にいられるようになったのに、それ以上のことを……トラネコさんにもっと好きになってもらいたいと最近、思っている。
こんなことを思っているって知られたら、トラネコさんは迷惑かも……ううん、わたしのことを嫌いになるかもしれない。
「レンちゃん、どうかしたんですか?」
顔を上げるとクウさんが心配そうにわたしのことを見ていた。
「何でもないんです。気にしないでください」
笑って答えたけど、クウさんの心配そうな顔は変わらなかった。
「……無理……しないで」
ミコトさんが優しく頭を撫でてくれる。
「レンちゃんが思っていること、わかるわ」
「……え?」
「レンちゃんも可愛い服を着てみたい。正確には可愛い服を着た姿をある人……とあるネコさんに見てもらいたい。でしょ?」
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