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「すっかり遅くなっちゃったね。レンちゃん、待ちくたびれてないといいけど」
ショーコさんの店に向かう途中の次元の挟間の森の中、ボク、トラネコの隣を歩く、高級な赤い蝶ネクタイに黒のスーツと身なりのいいブタの男の子、ブータが言った。
「トラネコがあれこれこだわりすぎるから、時間がかかっちゃんだよ」
「こだわったんじゃない。ちょうどいいものがなかったんだ」
ボクの手には貝殻がある。
空の海の砂浜で、レンとブータと一緒に遊んでいた時にきれいな貝殻を見つけた。
レンにあげようと思ったが、どうせあげるならレンのピンク色の髪に合うものがいいと思った。
レンに似合う貝殻を探すのをブータに頼ん……ではなく、手伝ってもらった。
その間、レンは暇だろうと、適当な理由を話して先にショーコさんのお店に行ってもらった。
「探したのはほとんどボクだけどね」
「ボクだって探しただろ」
「これはレンに似合わない、あれは形が悪いって文句ばっかり言っていたような気がするけど」
「あれは文句じゃなくて、意見だ。レンに適当なものは似合わないからな。あげるなら、厳選に厳選を重ねた上質なものが当然だろう」
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