第二話 ネコ(王子)と貝殻とワガママと

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レンのピンクの髪はとてもきれいだ。その髪は空の下では優しい光を放っているようで、水に濡れると艶やかな美しさがある。 まるで花のようなきれいな髪は人間の姿でも、本来の姿である人魚の姿でも変わらない。 それに似合うものを選ぶために意見を言うのは当然で、文句と言われるのは心外である。 ……まあ、少し言い過ぎたかもしれないし、少し探すのを任せ過ぎたかもしれない。  「……苦労をかけたことは謝る」  「そう思っているなら、いいけど。その代わり、ちゃんとトラネコからレンちゃんに渡してよ」  「……う、うん」 レンに渡す。 貝殻を探すことに夢中になって、すっかり忘れていた。 レンのために探したのだから、これはレンに渡さなければならない。 だけど……  「まさか、どう言って渡そうか、考えてないとか?」  「……そ、そんなことは」 否定しようと思った。だけど……  「……考えてなかった」 と、何も思いつかなくて、正直にブータに言った。  「厳選して見つけたものだから、特別な言い方をしたほうがいいに決まっているよな」  「そうやって、いつもみたいに偉そうに言ったら、いくら優しいレンちゃんでも嬉しくないと思うよ。素直にあげる、でいいんじゃない?」  「せっかく見つけたものなのにそれだと適当すぎる」  「じゃあ、偶然見つけたとか」  「偶然、見つけたもので渡したくない」  「じゃあ、空から降ってきたとか」  「貝殻は空から降ってこない。隕石じゃあるまいし」  「じゃあ、好きな君のために見つけたものだって、言えば?」  「な、何でそうなる!!」  「だって、トラネコはレンちゃんのことが好きなんだろ?」
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