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これがカリナさんとアルトさんのいつものやり取りだって、前にクウさんとナルさんが教えてくれたけど、アルトさんはとても悲しそうな顔をしていた。
「アルトさん。あとでわたしのおかし、あげますから元気出してください」
放っておけず、わたしはアルトさんに声をかけた。
「うう……有り難う。レンちゃんは優しいよなあ……」
アルトさんがしゃがんで、ぽんぽんと頭を撫でてくれた。
「じゃあ、レンちゃんがアルト兄にわけた分のおかしはわたしがあげますね」
「それじゃあ、クウさんが食べる分が減ってしまいます。わたしは大丈夫ですから」
クウさんの言ってくれたことは嬉しかったけど、そのせいでクウさんの食べるおかしが減ってしまうのは申し訳なかった。
「アルト兄を元気にしてくれたお礼ですから、気にしないでください」
「でも……」
「じゃあ、レンちゃんのおかしを少し分けてくれませんか。わたしのおかしと交換し合いっこということで。どうでしょうか?」
「それなら……喜んで!」
「クウちゃんも、レンちゃんも、本当いい子だなあ……」
と、アルトさんがハンカチを片手に泣く。それを見たカリナさんが「大げさすぎ」と本の角でアルトさんの頭を叩いた。
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