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その本はわたしの横に落ちた。
「カ、カリナ姉! レンちゃん、怪我はないですか?」
「はい、大丈夫です」
駆け寄ってくれたクウさんに頷いて、ふと隣に落ちた本を見た。
「……あ」
その本にはいろんな人間の女性が、いろんな服を着て着飾っていた。
お姫様…とは違う。みんなきれいな人たちで、服もどれも素敵なものばかりで、目が離せなくなった。
「ああ、その本はファッション誌ね」
ショーコさんがそう教えてくれた。
「ふぁっしょんし?」
「ファッション誌っていうのはね、その時に流行っている服のことや、その服の着こなし方、美容のこととかを紹介している雑誌という本よ。ちょっと前にあるお客様がお店に来て、相談に乗ってあげたことがあるの。そしたら、次にお店に来てくれた時にその本の専属モデルになったからって何冊がくれたのよ」
ファッション誌をめくって、この人がそのお客様だとショーコさんが教えてくれた。
その女性は他の女性と同じように素敵な服を着ていた。でも、その女性は他の女性よりきらきら輝いていて、着ている服はより一層素敵に見えた。
「女性の方も、服も両方素敵ですね」
クウさんの言葉に、ミコトさんもこくんと頷いた。
「クウちゃんもミコトちゃんもカリナちゃんも……もちろん、レンちゃんもこのファッション誌のモデルみたいにとっても可愛くなれるわよ。女の子は誰だって、その可能性を秘めているんだから。絶対、可愛くなれるし、絶対、好きな男の子を振り向かせられるわよ」
ショーコさんが力強くそう言ってくれた。
そう、なれるのかな。
もし、このファッション誌の女性みたいに素敵になれたら……トラネコさんはわたしのことを見てくれるかな。
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