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……って、何てことを考えているんだろう。
トラネコさんは憧れの外の世界から来た人(今はネコの姿だけど)で、初めての空の海の住人以外のお友だちで、引っ込み思案のわたしのお友だちになってくれて……せっかくお友だちになれて、いろいろあって、ずっと一緒にいられるようになったのに、こんなことを思うなんて。
好きなトラネコさんとお友だちで、ずっと一緒にいられるようになって、それだけで十分幸せなのに。なのにそれ以上のことを望むなんて……。
「そうだ。試しにこのファッション誌の服を着てみるっていうのはどうかしら?」
突然、ショーコさんが言い出した。
「え? そんなこと出来るの?」
カリナさんが聞く。
「ええ、もちろん。うちにはそれが出来ちゃう魔法使いがいるから」
ショーコさんがいたずらっぽく笑って、カウンター席に目を向ける。
カウンター席には不思議な青い花のついたつばの長い紫色の帽子を深くかぶって、ナルさんが読んでいる本より分厚い本を読んでいる精霊さんがいた。
その精霊さんをわたしは知っている。
わたしと同じ空の海の精霊さんで、お名前は空の海の魔女さん。
精霊の中でも特に強い力を持っていて、いろんな魔法が使えて、その力で空の海を守ってくれている。
「誰が魔法使いだ。あたしは魔女で、魔法使いじゃないよ」
空の海の魔女さんはいつも難しそうな顔をしているけど、今日はいつもより難しい顔をしていた。
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