0人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
次の日、私は友達のあの子を運動場端のブランコまで呼び出し遊んでいた。
今日は家庭訪問の日だけれど、ママにはその事を伝えられてない。だから遊んで自分に忘れさせようとしているのかもしれない。
朝雨が降っていたから地面は濡れて泥の水溜まりがいくつか出来ている。私とその子はカバンを少し屋根になって濡れていない下に置いて、何とか乾いているブランコで無心に揺れていた。
少し肌寒く、そのせいかその子は運動場のトイレに駆け込み、しばらく出てこない。
なんだか暇で、ふと視線に入ったのはその子がいつも触っているカバンに付けた人形、よく見ると少し汚れていることに気づいた。
水で洗えば落ちそうな程度の汚れ。
その子はまだ出てこないので代わりに洗ってあげようと思い、カバンから外して蛇口の前まで行き、汚れた部分から水につけるとじんわりと水を吸い上げ濡れていく。
ちょうどその時、その子がトイレから出てきた。
「何してるのっ!」
その子は悲鳴に近い声をあげる。
「綺麗にしてあげてるのよ」
「やめて、そんなことしないで」
その子が泥水を蹴りあげるものだから私が着ていた服に泥水が染み付く。
「何するのよ」
私に比べれば、その子の方がよほど泥塗れにはなっているけれど、それは自業自得。
私のは数少ない服の一つなのに。
その子はずっと人形を抱えたまま、私の方を見向きもしない。
大した時間も潰せず、私はその子と別れて一人で帰っていると途中で先生と出くわした。これから私の家に家庭訪問に来るらしい。
心臓がキューと縮み込むかのようで、妙な高鳴りが抑えられない。またママに怒られる。
玄関のドアを開けるとママがお化粧もお着替えも済ませた状態で今から出掛けようとしていた。
ママがこういった格好をするときは決まって男の人に会いに行くときだ。ママはいつも夜遅くまで私の知らない男の人達とお酒を飲んだりしてるみたい。
「こんにちは、ついそこでミヨちゃんとあったので一緒に来ました」
先生があいさつしている間に私はまた怒られないようにと自分の部屋へと逃げた。
先生がいる間は怒られないとは思うけど
家庭訪問が終わり先生が出ていって、ママも私にはなにも言わずに少ししてから出ていった。
きっと待ち合わせの時間とかがあったからだと思う、そうでなければ今日もまたママに叩かれていたと思う。
最初のコメントを投稿しよう!