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「吉田さん、本当にこのあたりなんですか? 」
「ああ。地図上ではな。ちょっと、コンビニかどっかで聞いてみるか」
助手席から下りて自分と同じように寒そうにする吉田宏太を見て、河口はここで停車するのはまずかったかもしれないと思った。けれど、どうもこれ以上先は私道のようにも思えたし、どんどん細くなっていく道は、どこまで続いているかがかなり心もとない。富士パノラマラインを走っている時は簡単にたどり着けると思ったのだが、ほんの一本奥まった道に入ると、どこか迷路のようでもあった。
「すいません。コンビニ……。地図上だとさっき見かけたやつが一番近かったみたいです」
「そうか。ちょっと電話して確認してみるわ」
吉田は車内に戻って電話をかけ始めた。河口も車内に戻ろうとしたのだが、どこからともなく音が聞こえその音に気を取られた。
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