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「君は……。知らないのか? 彩子は無痛症なんだ」 「ムツウショウ?」 「あの子は肉体的な痛みを感じることができないんだ。だから誰かに暴力的な行為に及ばれて怪我をしても、その怪我に気づくことがない。日常生活においても危険が常につきまとうんだ。あの時は、学校から帰ってきて私が異変に気付くまでよく生きていてくれたと思ったものだよ」  「体の痛みを感じない……」 「心の痛みは勉強しているところなんだがね。まあいい。あの子の命を守ることは、君たちのミッションとは関係ないだろうからね」  本栖は深々と溜息をついた。気まずさに、河口と吉田は顔を見合わせた。
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