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「ラ・カンパネラ」が止まった。
不意に訪れた静寂にハッとして顔を上げた河口は誰かに見下ろされていた。
「彼女」かもしれない人物に。
指ばかりに気を取られていたが、少女は随分奇妙な恰好だった。吐く息が白くなるような気温の中、室内にいるとはいえタンクトップに短パン。そして裸足だった。裸足で冷たいピアノのペダルを踏んでいたのだ。
奇妙さもそこまでなら、河口は冷静でいられたかもしれない。河口の方を観察するように、鋭く見据えた少女の黒目がちの大きな目は、ほとんどまばたきをしなかった。
まるで爬虫類が獲物を狙っている時のような目だ。
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