月と闇と

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 少年……ゼルにはまた疑問が残された。  ゼルがその疑問に夢中になっていると藪の中から音がした。 「おやあ~キミは誰だい? なんでこんなところにいるかなあ」  竜也がケイの遺体を探して降りてきたのだ。 「……彼女の言っていた話がぜんぶ本当だったとして……初めてあったボクのことを知ってるってことは…………」  しかしゼルは竜也という存在を完全に無視し、己の内なる声と対話していた。 「おーい! アンタ! 聞いてんのかよ! って、まー死んでいくオマエになんかこれっぽっちも興味は無いがねえ」 「ん?……オマエ……なんだ?……どこから……湧いて出た?」  ゼルはやっと竜也に気がついた。 「はあ~? さっきからずっと居たし! なんだよ俺ひとりで喋ってたのかよ。バカみたいじゃねーか! なんかあったまキタ! オマエは即、死ね!」 「オマエ……アレか……ケイの言ってたヤツか……黙って闇に消えてれば良かったものを」 「へっ やる気か? オマエ、そんな痩せっぽちのカラダで」 「やる? ボクがかい? はっはっはっはっは。ありがとう、やっと正気に戻れたよ。キミは……何も知らないのか。それともスッカリ忘れてしまっているのかだねえ。いずれにせよ罪は罪、罰は罰だ」  ゼルは静かに右手を上げた。
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