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竜也の車がゆっくりとUターンし後を追う。
「ちょ、どーいうつもりなのアイツ! やっぱヤバイじゃん」
「えっ、ああー、もしならショーコちゃんだけ逃げてくれても……」
ケイは弱々しくつぶやいた。
「なに言ってるのよ!こんなとこ、置いてけるわけないでしょ!さ!こっちよ!」
ショーコは脇に小道を見つけると、ケイと一緒に闇の中に飛び込んだ。
道の入口で車を停めると竜也は大声で叫んだ。
「おーいー! そっちはアブナイぜ? 知らないからな――――っ」
そしてニヤリと笑うと携帯電話を取り出した。
「ん? ああ……ああ。計画とは少し違うけど……うん、うん……そっちに向ってるよ。それじゃあ後はよろしく……え? あ、ああ……ああ、こっちは……俺が?……分かったよ」
そうしてメガネを外すと空を、月を見上げた。
「はあ~、俺、あんま好きじゃないんだよねえ―山道とか……虫刺されるし」
――グルルルルルルゥゥゥゥウウ
次の瞬間、山道を這うように走る獣のような声があった。
時々立ち止まり、匂いを嗅ぎながら、ショーコとケイの後を正確につけていった。
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