あらかじめ用意された死

2/7
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
 竜也の車がゆっくりとUターンし後を追う。 「ちょ、どーいうつもりなのアイツ! やっぱヤバイじゃん」 「えっ、ああー、もしならショーコちゃんだけ逃げてくれても……」  ケイは弱々しくつぶやいた。 「なに言ってるのよ!こんなとこ、置いてけるわけないでしょ!さ!こっちよ!」  ショーコは脇に小道を見つけると、ケイと一緒に闇の中に飛び込んだ。  道の入口で車を停めると竜也は大声で叫んだ。 「おーいー! そっちはアブナイぜ? 知らないからな――――っ」  そしてニヤリと笑うと携帯電話を取り出した。 「ん? ああ……ああ。計画とは少し違うけど……うん、うん……そっちに向ってるよ。それじゃあ後はよろしく……え? あ、ああ……ああ、こっちは……俺が?……分かったよ」  そうしてメガネを外すと空を、月を見上げた。 「はあ~、俺、あんま好きじゃないんだよねえ―山道とか……虫刺されるし」  ――グルルルルルルゥゥゥゥウウ  次の瞬間、山道を這うように走る獣のような声があった。 時々立ち止まり、匂いを嗅ぎながら、ショーコとケイの後を正確につけていった。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!