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月と闇と
光か闇か
嘘か真か
正か邪か
ふたつを分かつもの
時の天秤
昨日と明日の分岐点
あらかじめ用意された選択肢
選択の
不自由
死と生
の
輪廻
月が輝く、夜の闇の真ん中に張り付いた月が、
高く、高く、うつろな眼球に浮かんで見える……
「なるほど……それでこんな川のフチにへばり付いていたというわけか」
「………………」
ケイ……だったモノは……もはや何も語らない。
「それで? オマエは何を望む? 復讐かい? それともあの橋の上に横たわっている友達とやらを生き返らせることかい? 残念ながら……それは禁じられている」
「……………………」
「ん? 違う……のか? ああ……そうか……もう……繰り返したくないのだな……その生を」
「……」
「いいだろう、いいだろう。しかし、教えておくれ。なぜボクの名を知っていた?」
「……前に……貴方が……教えて……くれたの…………」
「ボクがかい? それはおかしい。ボクはかつて『ゼム』と……『彼ら』と呼ばれていた……ボクはそれがたまらなく嫌だった。だから名前をつけたんだ。ついさっき自分でねゼルと……」
「……ほら……ね?………………」
「!」
ソレは笑ったように見えた。そしてついには完全に消えてしまった……
「待て! 待て、待て待て待て! それは、どういう意味だ?」
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