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あらかじめ用意された闇
人は時にわからなくなる
螺旋を
登っているのか?
それとも降りているのか?
デジャブ
それは
誰にでもある記憶の断片
繋ぎあわせ
はりあわせたとしても
正解へとたどり着くとはかぎらない
遺伝子のパズル……
「………暗い……暗いわ……暗いの……」
記憶のはじまり、それは闇だった。
それでも、それは冷たい闇でなく、暖かい闇だった。
「きゃーっ、ま、眩しい!」
やがて、まばゆい閃光とともに苦しみがはじまった。
「い、息が……息ができない!!!!」
誰が教えたのか……遺伝子のプログラムなのか……『呼吸』を思い出すと、なんとか彼女は『生きる』ことを始めるようになった。
「ワタシ……この景色……覚えてる……」
いつでもそうだった。
彼女は……自分が見るもの、聞くこと、どれもどこかでいつか見た……かつて聞いた……そんな気がしていた。
いいや、それでは正確ではない。
経験した後になって、これは前に経験したことがある。と思うのだ。
はじめて立ち上がり、はじめて歩きだし、はじめて声を発したこと
はじめての友達、はじめての喧嘩、はじめての恋、はじめての別れ……
彼女は、すべてはじめてのはずの人生が、なぜか虚しく感じていた。
そして彼女は自分の人生を変えようと思った。
自分の人生を生きたい……ただ……それだけだった。
だから彼女は計画した。自分を変える計画だ。
彼女の計画……それは、ある岐路に立った時、『自分だったら決して選択しないであろう選択を行う』というものだった。
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