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あらかじめ用意された死
夜が人を狂わせるのか
それとも
夜は人の本性を照らすのか
いずれにせよ
闇の中でこそ
はっきりと見えてくる人の姿がある
光に覆い隠されていた
本性が透けて見えてくる
「どこに行くの?」
しばらく無言のまま進む車内の重い空気に耐えかねてショーコが口を開いた。
車はすでに郊外を抜け、山道に入ると速度をさらにあげ、街から遠ざかっていた。街灯もまばらで、ヘッドライトに照らされた空間だけがスッポリと切り取られて見えた。
「ん? ああーもうすぐ着くさ」
竜也はバックミラー越しにチラッとショーコを見た。
そして助手席のケイに視線を向けた。
「そんなこと言って、どんどんなんもない山道に向かってるんですけど?」
「んー、ショーコってばウルサイなあ~ケイちゃんの友達だっていうから、同じ系かと思ったのに」
「同じ系って何よ!」
「んー、なんつーかな、俺と同じ匂いっつーか、世の中に飽きてるっつーか……そんな感じ?」
「なっ なによ! あんたなんかとケイをいっしょにしないでよ! ほら、ケイも何かいいなさいよ」
「え? んー……ほんとはどこ向かってるの? リュウくん」
「ん? あー、ケイちゃんとイイコトしたいなーなんて思ってたんだけどね?思いっきしっ!ひゃはははは」
「な!どっかに連れ込む気なら帰るわよ!」
――キキキキキ―――――ッ
「あー?でもこっからじゃ遠いぜ?」
竜也は突然、車を停めると後ろを振り返りショーコを睨んだ。
「い、いいわよ!ヒッチハイクでもなんでもして帰るから!」
「クックックック。いいのかい?この辺、出るらしいぜ?」
「な、何が出るっていうのよ!幽霊とか信じないんだからね!さ!ケイ行くよ!」
――バタムッ
ショーコはケイの手を引いて車を飛び降りた。
「まあ、いーけどさあ。俺は知らないぜ? どーなってもさ……」
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