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 秋鹿が引き下げた皿を洗っていると、ハルが云った。 「牛乳を切らしそうだから、ちょっと買い物に行ってくるわね」 「え……、」 「大丈夫。表には『一時留守』の札を出しておくから。こう云うことはうちのお客さんは慣れっこですからね」 「はい……、」  そうは云われてもハルのいないのは不安だったが、秋鹿は頷いた。 「すぐに戻ってきますから、お願いね」  ハルはエプロンを外すと、行ってきますと云って、店を出ていく。エンジンのかかる音がして、そう云えば表にスクーターがあったことを秋鹿は憶い出した。  皿を片附けてやることがなくなると、何だか落ち着かない気分になった。どれくらいの時間でハルが戻ってくるのか、予想も出来ない。ぼんやりと店に立っているのはすまない気がして、必要かどうか判らぬままカウンターの花の水を換えたり、テーブルを磨いたりした。  入口の扉が開いて、ドアベルが鳴った。ハルが帰ってきたと思って顔を上げると、入ってきたのは一人の少年だった。
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