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「こんにちは、ハルさーん!」
華やかにやってきたのは麗ら彦だった。
「いつもより来るのが遅くなっちゃった。昨夜の集いのおかげで、先刻まで睡りこけていたものだから。その代わり、連れてきたわよ」
と、躰を脇にどける。すると、
「ハルさん、お久し振り。元気だった?」
「会いたかったわあ、ハルさん」
「ご、ご無沙汰してます」
入ってきたのは麗ら彦に顔つきの似た二人と、眼帯をつけた背の高い男だった。麗ら彦に似た二人は、やはり男性なのに女性のような喋り方をする。みな人間の姿をしているが、あやかしなのだろう。
「いらっしゃい。まあ、みんなで」
ハルが喜んで迎える。
「本当に久し振りね。あなたたちこそ元気でしたか?」
「もちろんよ。あたしたち、ちょっと遠くへ行っていたの。もうハルさんのケーキが恋しくて恋しくって」
「今度の集いが大きかったから、久々に帰ってこられたの。すぐにまた行かなくちゃだけどねえ」
麗ら彦の仲間たちはハルの手を握りながら答える。
「あなたも遠くへ行っていたのですか?」
ハルは眼帯の男にも訊ねる。
「俺は……その……」
「こいつはすっかり山に引っ込んじゃってね。あたしたちが引っぱり出してきたのよ」
麗ら彦が男の脇を肘でつつく。男はきまりの悪そうに、太い領を撫でさすった。
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