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「そうだったの。また会えて嬉しいですよ。集いは愉しかった?」
「ええ、もちろん! 白帝様のお姿も見られたしね」
キャー! と、麗ら彦と仲間たちが頬に手を当てる。三人とも年頃の少女のようだった。
「まあ、無月様もいらしていたの、」
ハルの問いに、麗ら彦が頷く。「そうなの。お珍しいことにね」
ハクテイとかムゲツとか、誰のことだろうと、秋鹿は思った。
「相変わらずお素敵だったわあ、白帝様」
「これであと二百年は生きられるわね」
うっとりとして、麗ら彦の仲間たちは云う。あやかしって、何年生きるのだろうと、秋鹿は驚いた。この人間での姿は二十代くらいだけれども、もしかしたらハルのように、見た目とは全然違う年齢なのかも識れない。
「あれ、柊じゃない」
麗ら彦が奥の席に坐る柊に気が附く。柊は彼らの方を見ない。視線をテーブルに落とし、珈琲を飲んでいる。
「柊、あんた何で昨夜の集いに来なかったのよ。今度の集いではあんたの処にも召集きてたでしょ。こっちとしては大迷惑だけれど、白帝様の命だから、そのつもりでいたのよ。それなのに来ないって、どう云うこと。あんた、白帝様に逆らうつもり?」
眉を吊り上げる麗ら彦を、仲間たちが止める。
「やめましょうよ。あの子は集いに出ない方が良いのよ。放っておいた方が良いわ」
「そうよお。それにあんまりからむと、麗らさんに禍が起こるかも識れないわ」
眼帯の男も口出しはしないが、険しい顔をしている。
禍とは何のことだろう。秋鹿は気になったが、とても訊ねられる雰囲気ではなかった。
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