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「じゃあもっと強くいられるように印をあげる」 そう言うと篠原さんは布団をもう少しはだけさせると、私の右の鎖骨の下にキスを落とした。 そしてチリっとした痛みが走る。 肌に落ちた赤い印…。 独占欲の象徴とされるそれに胸が詰まった。 「うん、綺麗に咲いた」 うっ血斑を花と喩え嬉しそうに綺麗に笑う。 それがなぜだか嬉しくて、気がつくとまなじりから涙が伝っていた。 「ヒナさんは泣き虫だね」 ちゅ、ちゅと音を立てて涙を吸われ、羞恥と、初めて名前を呼ばれたことに頬を染めた。 「可愛いよ」 甘いセリフと共に掠め取るようなキスをされる。 一瞬のこと過ぎて驚いていると、篠原さんは「さてと」と言いながら起き上った。 「これ以上すると止まらなくなっちゃう。俺、職場に顔を出さないとなんだ。ヒナさんは疲れてるならまだ――」 彼の言葉を遮り、布団で胸を隠しながら私も起き上る。
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