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『探してください』act1
探してくださいか・・・
これは簡単かもな
私はそんな事を呟きながら三宅に電話をした
「三宅~、飯食わないか~?」
「ああ~、良いですね~
早苗さんの手料理ですか?」
「そう言う、訳でも無いのだが」
私は冷蔵庫を開けた
そこには食材が沢山買い込んであった
私はニヤリと笑った
「すき焼きかな」
と携帯で電話をしながら
食材をチェックしていると
「いいすねぇ~」
と三宅が言うので
「ああ、肉買ってこい!良い奴、安くても旨い奴」
「えっ、給料前なんですよ~、お金払って
くださいよ」
「分かった、貧乏人、それとだな早く来い!
でないと、面白いものを見損なうぞ」
「えっ、はい分かりました
今から向かいます、肉買ってから」
と電話は切れた
私が鍋を用意して野菜を切っていると
三宅が現れた
「えっ?先輩が料理するんですか?
早苗さんは?」
と聞くので
そこのメモを見て見ろ、と顎で示した
三宅はそれを手に持つと
「探さないで下さい、早苗、って!
また、家出~!
探さないで~、パート2~!」
と叫ぶので
「アホ!良く読め、探して下さいだ」
「えっ、何で、探して下さいなんですか?
本当に変わった夫婦ですね
しかも旦那は慌てるどころか
すき焼きの準備をしている
ああ、分かったイタズラと思っているんでしょ
だから、どうせ帰ってくるとふんでるんでしょ」
「まあ、そんなところかな」
私は割下を入れて野菜を詰めだした
すると三宅は
う~ん、と唸ってメモを見ながら
「これは、本当かもしれませんよ
本当に家出したとか
先輩に探さないで、とメモを残したら
この間と同じかと思うでしょ
だから逆の言葉を残したのじゃ無いですか?
探しても見付からない所に行きます
と言う意味では?!
えっ!ヤバイ!ヤバイですよ先輩!」
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