第十七話 異形

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「キシャアアアッ!!」 「はあっ!!」 奇声をあげながら飛びかかってきた二体の人形のうち、一体はランスで突き刺し、もう一体は蹴飛ばすリド。 「薙ぎ払いなさい、バジリスク!!」 タロッテが召喚した紫色に光る大蛇のような魔獣、バジリスクが首を鞭のように使い、襲いかかってきた人形達を弾き飛ばしてゆく。 人形はバラバラに砕け、そのまま白い粒子となって消滅した。 タロッテ自身も武器の鞭を振るい、人形を次々倒してゆく。 悪魔の兵士のひとりが、戦いながら呟いた。 「まさか、人間どもと共闘することになるなんてっ!」 その兵士の隣で戦っていたアスモデウスが、組ついてきた人形を戦斧で叩き割りながら言った。 「状況が状況なんだ! 今は協力して戦わないと、こっちが全滅だよ!!」 案の定あの後、白く光る球体関節人形達はリド達に襲いかかってきた。 リド達オリオン部隊はすぐ応戦し、悪魔の兵士達も武器を手に立ちむかい、アスモデウス、レモリー、タロッテも魔獣を召喚し人形と戦いはじめた。 デス・プラントがツタで複数の人形を一度に捕らえ、握り潰し、レモリーが鉤爪で、それ以上の数の人形を次々斬り裂いてゆく。 「キリがない…。いったい、何処からわいてくる…!? アレは何処に繋がっている…!?」 レモリーが言う通り、人形はいくら倒してもゲートの中から虫がわくようにあらわれた。 オリオン部隊のひとりが、人形の隙をついてゲートに小型の大砲を撃ち込んだ。が、ゲートは何の変化もない。 「ダメだ、壊せない!!」 そのとき、アスモデウスが人形の異変に気づき、指さして叫んだ。 「見ろっ、人形がっ!?」 白く光る人形達が、ガクンと一旦動きを止め、そのまま小刻みに痙攣しながら腹部から黒く染まってゆく。 「なっ…!?」 リドを含めたオリオン部隊の隊員も、アスモデウスら悪魔の兵士達も、このあまりにも不気味な状況に、ただ一旦戦うのを止め茫然とその様子を見ていた。 完全に黒く染まった人形は、先程のケラケラした笑い声とは異なる不気味な笑い声を、全身をガクガクさせながら発した。 「グギャ、グゲゲッ、ブギィー、グギャギゲガギャアアア、ゲブガギィイイ!!」 「ひっ」 隊員のひとりが、この世ものとは思えない笑い声を聞き、思わず小さな悲鳴をあげた。
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