第十七話 異形

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その直後にアストロンも、ようやく自分に襲いかかってきた二体をなんとか斬り倒した。 さっきまでサリアと交戦していたミカエラが、ジュライ達を横目で見ながら言った。 「リトル・ペガサスもブリジットもやられたか…」 聖獣を倒されたのにもかかわらず、ぴんぴんしているミカエラを見て、ジュライが言った。 「そんな、聖獣を倒したのに、ダメージをうけてない!?」 「ふふふ、私くらいの力のある大天使になれば、しもべのダメージを感じなくなるのだ。それでも、倒されるとは思わなかったが…。少々侮ってい」 サリアが鋭い目で、ジュライの方をむき話すミカエラに矢を放つ。しかしミカエラは、まったく矢を見ずにひらりとかわし、サリアに言った。 「よそ見をしているときに攻撃するとは、かしこいやりかただな。裏を返せば、このような手段を使わなければ、私に勝てないと自覚しているということだが」 ジュライがサリアにむかって叫んだ。 「まってろ、サリア! オレたちも今すぐそっちにっ…」 しかしサリアは、静だが鋭い声で言った。 「ダメだ、ジュライ、みんなっ…、姉さんとは私が決着をつける。いや、私が壊れてしまった姉さんと決着をつけなければならないのだ…」 「…!!」 その決意に満ちた言葉を聞き、金縛りにあったように動けなくなるジュライ達。 少しむっとしたように、ミカエラが言った。 「壊れたとは心外な…」 だが、すぐその表情はどこか嬉しそうな妖しげな笑みになった。 「まぁ、その様子だと、ようやく心当たりを見つけたようだな、サリア。お前のあの行動が、私が完全に甘い考え方を捨てるきっかけになったと…」 「姉さん…」 ミカエラが、勝ち誇ったように声をあげて笑いはじめた。 「はははっ! お前は私達の戦うという方針に反対し、人間とともに戦う道を選んだのではなく、本当は安全な道へ逃げだしたかったのだろう? 天界にいれば、そのうち人間や悪魔と戦う兵士となり、危険な戦場へ立たされるのは確実、人間界へ逃亡すれば、一時的とはいえ兵士になる道は閉ざされる。人間が危機をむかえれば人間を見捨て、悪魔側につき、悪魔側が危機をむかえれば、そのころには戦いは終わりをむかえ安全になる。それを見計らい、上手いことをいってこちら側に戻るつもりだったのだろう?
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