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その直後にアストロンも、ようやく自分に襲いかかってきた二体をなんとか斬り倒した。
さっきまでサリアと交戦していたミカエラが、ジュライ達を横目で見ながら言った。
「リトル・ペガサスもブリジットもやられたか…」
聖獣を倒されたのにもかかわらず、ぴんぴんしているミカエラを見て、ジュライが言った。
「そんな、聖獣を倒したのに、ダメージをうけてない!?」
「ふふふ、私くらいの力のある大天使になれば、しもべのダメージを感じなくなるのだ。それでも、倒されるとは思わなかったが…。少々侮ってい」
サリアが鋭い目で、ジュライの方をむき話すミカエラに矢を放つ。しかしミカエラは、まったく矢を見ずにひらりとかわし、サリアに言った。
「よそ見をしているときに攻撃するとは、かしこいやりかただな。裏を返せば、このような手段を使わなければ、私に勝てないと自覚しているということだが」
ジュライがサリアにむかって叫んだ。
「まってろ、サリア! オレたちも今すぐそっちにっ…」
しかしサリアは、静だが鋭い声で言った。
「ダメだ、ジュライ、みんなっ…、姉さんとは私が決着をつける。いや、私が壊れてしまった姉さんと決着をつけなければならないのだ…」
「…!!」
その決意に満ちた言葉を聞き、金縛りにあったように動けなくなるジュライ達。
少しむっとしたように、ミカエラが言った。
「壊れたとは心外な…」
だが、すぐその表情はどこか嬉しそうな妖しげな笑みになった。
「まぁ、その様子だと、ようやく心当たりを見つけたようだな、サリア。お前のあの行動が、私が完全に甘い考え方を捨てるきっかけになったと…」
「姉さん…」
ミカエラが、勝ち誇ったように声をあげて笑いはじめた。
「はははっ! お前は私達の戦うという方針に反対し、人間とともに戦う道を選んだのではなく、本当は安全な道へ逃げだしたかったのだろう? 天界にいれば、そのうち人間や悪魔と戦う兵士となり、危険な戦場へ立たされるのは確実、人間界へ逃亡すれば、一時的とはいえ兵士になる道は閉ざされる。人間が危機をむかえれば人間を見捨て、悪魔側につき、悪魔側が危機をむかえれば、そのころには戦いは終わりをむかえ安全になる。それを見計らい、上手いことをいってこちら側に戻るつもりだったのだろう?
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