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お前がいなくなった時点で、私はいろいろ悟ったのだよ。代々続く兵士の家系に生まれながら、お前が我が身可愛さのあまり、先祖の思いを裏切り、逃げる道を選んだのだと。そして私は亡き両親の誇りを守るため、そうならないと誓った」
サリアがビクンと体を震わせた。
「な…!? 私はそんな…」
「ふざけるなっ!!」
ジュライが、怒りの叫びをあげた。
「サリアが保身で戦うことから逃げただと!? そんなことあるかっ、サリアは今までオレたちと戦ってきたんだ! 危険な塔や魔界にも、オレたちと飛び込んでいったんだ!!」
モルガナもアストロンもサントも、怒りの声をあげる。
「もし、逃げるために私たちのところに来たのなら、とっくに私たちから逃げ出しているわ!!」
「あなただって、彼女が必死に戦っているのを見ているじゃないですかっ!!」
「アンタ、サリアの実の姉なんだろ!? 家族なんだろ!? どうして妹のことを、そこまで貶すんだよ!!」
ミカエラが苛立ったように、ジュライ達にクロスボウをむけた。
「お前達に、私達の何がわかる…」
クロスボウの先が、今までより強く発光する。それを見て警戒するサント。
「やべーぞ、あの圧力、自分の力を全て武器に込めているっ!!」
ジュライ達の方を、怒りのこもった目で睨むミカエラ。
「そのとおりさ…、お前達はうるさ過ぎた…。お前達4人を光り矢で、一瞬で焼き払ってやる!!」
「させるかっ!!」
サリアが矢を放ち、クロスボウをミカエラの手から弾き飛ばした。
床に落ちたクロスボウは、光りを急速に無くしてゆく。
武器を失ったミカエラは、さすがにひどく動揺していた。
「しまった! この私が冷静さを失い隙をっ…!!」
そしてサリアの方に、怒りと自身への嘲笑が混ざった複雑な視線をむけた。
「あの矢の重さ…、サリア、私の知らぬまに、少しは強くなったんだな…」
サリアはミカエラに矢をむけたまま、わずかに涙を浮かべていた。
ガシャーンと天井ほうで音がした。
天井の付近のステンドグラスを突き破って、破片とともにあの白く発光する人形が数体落ちて来た。
驚く一同。
ジュライが人形に武器をむけながらいった。
「なんだ、これは!?」
サリアが言った。
「聖護人形か!?」
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