第十七話 異形

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お前がいなくなった時点で、私はいろいろ悟ったのだよ。代々続く兵士の家系に生まれながら、お前が我が身可愛さのあまり、先祖の思いを裏切り、逃げる道を選んだのだと。そして私は亡き両親の誇りを守るため、そうならないと誓った」 サリアがビクンと体を震わせた。 「な…!? 私はそんな…」 「ふざけるなっ!!」 ジュライが、怒りの叫びをあげた。 「サリアが保身で戦うことから逃げただと!? そんなことあるかっ、サリアは今までオレたちと戦ってきたんだ! 危険な塔や魔界にも、オレたちと飛び込んでいったんだ!!」 モルガナもアストロンもサントも、怒りの声をあげる。 「もし、逃げるために私たちのところに来たのなら、とっくに私たちから逃げ出しているわ!!」 「あなただって、彼女が必死に戦っているのを見ているじゃないですかっ!!」 「アンタ、サリアの実の姉なんだろ!? 家族なんだろ!? どうして妹のことを、そこまで貶すんだよ!!」 ミカエラが苛立ったように、ジュライ達にクロスボウをむけた。 「お前達に、私達の何がわかる…」 クロスボウの先が、今までより強く発光する。それを見て警戒するサント。 「やべーぞ、あの圧力、自分の力を全て武器に込めているっ!!」 ジュライ達の方を、怒りのこもった目で睨むミカエラ。 「そのとおりさ…、お前達はうるさ過ぎた…。お前達4人を光り矢で、一瞬で焼き払ってやる!!」 「させるかっ!!」 サリアが矢を放ち、クロスボウをミカエラの手から弾き飛ばした。 床に落ちたクロスボウは、光りを急速に無くしてゆく。 武器を失ったミカエラは、さすがにひどく動揺していた。 「しまった! この私が冷静さを失い隙をっ…!!」 そしてサリアの方に、怒りと自身への嘲笑が混ざった複雑な視線をむけた。 「あの矢の重さ…、サリア、私の知らぬまに、少しは強くなったんだな…」 サリアはミカエラに矢をむけたまま、わずかに涙を浮かべていた。 ガシャーンと天井ほうで音がした。 天井の付近のステンドグラスを突き破って、破片とともにあの白く発光する人形が数体落ちて来た。 驚く一同。 ジュライが人形に武器をむけながらいった。 「なんだ、これは!?」 サリアが言った。 「聖護人形か!?」
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