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Uno side
カフェの中は、外の寒さとは比べ物にならないくらい暖かい。
周りを見れば、カップルだらけ。あなたと私も、そう見られてるのかな...なんて。
少し期待してみたり...。
-ねえ、あれってAAAの宇野実彩子と西島隆弘じゃない?
-え?どこどこ?
-ほら!カウンターの近く!
でもやっぱり現実は、そううまくできているわけじゃなくて。
西「...気づかれちゃったみたいだね。出よっか...?」
宇「うん。そだね。」
西「あんまりゆっくりできなかったね。」
宇「まあ、仕方ないよ。私たちは『芸能人』なわけだし...。」
西「じゃあさ、宇野ちゃん。 あそこ、寄ってかない?」
宇「公園?」
西「そっ。少し、寒いけど。なんか、用事ある?」
宇「ううん。ない。」
西「よかった。」
そうあなたに誘われて、二人でベンチに座る。一人分空いたスペースが現実を突きつけられているような気がして少し胸が、チクリと痛んだ。
西「もう、イルミネーションか。そういえば、あと少しでクリスマスだねー。」
宇「本当だ。早いなっ。」
西「今日さ、いつもより寒くない?」
宇「確かに。白い息でるもん。」
「「はあー」」
西「あ、シンクロした笑」
宇「だね笑」
あなたと同じことを考えてた。同じ時間に同じことをした。
それだけで心が温まる。
氷と太陽。
暖かな光があたれば、その姿は儚く消えてしまう。
氷と太陽が出逢えるのは、とても寒い日の朝だけ。
しばらくすれば、また離れ離れ。
また...独りぼっち。
独りぼっちの孤独な世界。楽しいことなんて一つもない。
何もなければ何も感じないはずなのになぜか、切なくなる。
隣は暖かで笑顔が溢れる、楽しい世界。
隣の世界の住人がこの孤独な世界に一人で来たらその笑顔は消えてしまうのだろうか。
この世界に少しのあかりを灯してくれるのだろうか。
独りぼっちの孤独な世界。楽しいことなんて一つもない。
何も変わらない、明日がまた訪れることを望んでいる。
その片隅で、誰かと出会えることを密かに願っている。
あなたに出会えることを願っている。
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