阿吽の「あ」

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「…―来たか」 お疲れ~ 「ここへ座れ」 …何でベッドに? 「正座で、だ。神聖なベッドの上だぞ」 神聖… 「良き正座だ。首尾は」 万事― 「重畳」 オイ…この上なく満足だ、やないわ…自分は万事休すって! 「時に、貴様は大陸の妖しにも通ずるが」 スルー? …妖怪も神話も中国のが先に、中学ん時は既に好きやったけど 本が鬼ムズやった…今は平気。 「山海経[センガイキョウ]…」 おお~…流石。中国神話妖怪のバイブル。 妄想やまらんわ~あの本! 和漢三才図会も全巻欲し…むしろ南方熊楠みたく写本したい! 「何年かかる…山海経からでは日本の妖しは随分後か」 いや、ほぼ同時期。 中2ん時、海外の中学と姉妹校になるやらでさ…向こうへ何か贈る係りなってもて。 日本らしいモン、で…浮世絵を模写して和紙で貼り絵にした。 写楽と北斎の有名どころやったが…あの波!大変やった… 「国芳にも一目惚れ」 正しく!弟子の河鍋暁斎も月岡芳年も最狂! 芳年の月シリーズの情景はもう…現実と夢幻のはざま感が異常で目が離せん。 「狂える絵師は凄まじいモノ」 美術の先生に借りた、浮世絵…錦絵の本の妖怪達やら…鮮烈で自分には極上で。 でも日本最狂妖怪本ゆうたら! 「鳥山石燕、画図百鬼夜行だ。江戸時代の妖怪画で最も―」 悶、絶モンッ! 中国山海経と並んで、自分には日本妖怪バイブル! 可愛さ面白さ不気味さ哀愁も…石燕の妄想力に、中学生ながら衝撃で。 〇〇には爆笑&虜よ。 「アレか…」 妖怪っつか針聞書も見飽きん。 「皆、変態だ」 ええ意味で。 けど現代の妖怪図鑑は… 申し訳ないがゲ〇〇さんの絵が無理で持ってへん…逆に怖くて見れんし何か違うけど、それって凄いよな…凄い人やった… 敬意は凄ぇ持ってるだけに何か…見れん、買えんの口惜しい。 「好みは各々だが…石燕の絵を普通は怖がる」 でも、妖怪図鑑は画図百鬼夜行シリーズやで! 「皆、元を辿れば石燕が」 敬意と共に日々妄想を磨く! 「フ…日本の妖しは石燕のみの情報か」 アホな。 当然、遠野物語とか…北海道~沖縄まで、日本の民話や伝承も調べた。 「成る程…それでか。謎は解けた」 何の?ちゃうやん!ココは君が謎に答える―… れ、もう始まって? 「…手始めに、貴様と対談などしてみたかった」 …茶ぁ出せや。 「さて、仕切り直せ」
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