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第9章 ピンクの秘密(続き)
私は、ゆっくりと起き上がると、彼の乱れた髪にそっと指を入れた。
「寝室に、行こう」
出来るだけ、優しく言った。
だが彼は、その私の言葉に小さくかぶりを振り返す。
しかし、まだ言葉のないままの彼の横で私は静かに立ち上がり、
床に落ちていた父のガウンを拾い上げると、そっと彼の肩に掛けた。
そして、放心状態になって床に座っている彼の手を静かに取った。
彼は、特に抵抗はしなかった。
私は、彼の手を引くようにして奥にある寝室へと入っていくと、
促すように彼をベッドに座らせた。
「ちょっと待ってて。すぐに戻るから」
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