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私は、急いで寝室を出ると、取り敢えず滝嶋の食事を準備した。
「ちょっと、イイ子にしててね」
そして、大好きな猫缶に舌鼓を打ち出した彼女の頭を小さく撫でると
私は再び寝室に戻った。
薄暗い部屋の中で、彼は、ほんの数分前と同じ姿勢でベッドに腰掛けたまま
叱られた子供のようにションボリと項垂れていた。
そして、寝室の扉をそっと閉め、
彼の隣に私が座ると、ようやく彼が呟くように言う。
「ごめん……」
私は、黙ってかぶりを振り、彼の背中をそっと摩った。
「美沙ちゃんに、こんな事するなんて。俺、本当にどうかしてる」
そして、再び侘びを口にした彼に、私は優しく「いいのよ」と言った。
しかし彼は、それを嫌うように激しく頭を振った。
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