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私は、今更ながらに、この男の自分への想いの深さに愕然とした。
同時に、こんなにも彼を苦しめてきた自分の罪深さも実感した。
それなのに、今の私には掛ける言葉が見当たらない。
私は、自分をもどかしく思いつつも、
ひたすら彼の言葉に耳を傾け、背中を静かに撫で続けるしかできなかった。
「結局、俺、美沙ちゃんの名前こそ出さなかったけど、
彼女に自分の気持ちを正直に話したんだ。
それで、そうやって彼女を傷つけて、離婚をして。
俺は、彼女に対して傷つける以外何もしなかったし、出来なかった。
だけど……、それでも俺、本当に薄情だと思うけど、
美沙ちゃんと再会できたあの時、運命に思いっきり感謝した。
それこそ本当に、今までの俺の過去の人生が一瞬の内に光と共に吹っ飛んで、消滅したように思えたほどだった。けど……」
言葉を切った彼は、がっくりと肩を落として大きく溜息をついた。
「罰、だな……」
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