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「あっ、そうだ!」
けど、いつまでも挙動不審でいるわけにいかない。互いの肩がくっつくほどの距離で電車待ちをしてるんだ。怪しさMAXの赤面で、うっとりドキドキしてたら気持ち悪がられてしまう。
「僕、桧山に言わなくちゃと思ってたこと、あるんだよ」
そんなタイミングじゃないけど、立ち上がった。話題を変えるついでに。
ここで離れなきゃ。でないと、僕はばかだから、いつまでも飽きずに桧山を見つめ続けてしまう。
椅子から二、三歩離れ、桧山とは斜向かいになるよう、立つ。
うん。この辺でいいかな?
目線を合わせなくても不審がられない絶妙な角度を選んだ。雪が運んでくる冷気が顔の火照りを鎮めてくれるのを願いつつ、桧山から離れる口実にした話題を口にする。
「明日から、二日間、部活が休みだろ? で、これは僕と静流先輩とで話し合ってたことなんだけど。明後日、静流先輩と智穂と僕たちの四人で、慰労会をしないか?」
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