憧れと嘘【5】

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「あっ、そうだ!」  けど、いつまでも挙動不審でいるわけにいかない。互いの肩がくっつくほどの距離で電車待ちをしてるんだ。怪しさMAXの赤面で、うっとりドキドキしてたら気持ち悪がられてしまう。 「僕、桧山に言わなくちゃと思ってたこと、あるんだよ」  そんなタイミングじゃないけど、立ち上がった。話題を変えるついでに。  ここで離れなきゃ。でないと、僕はばかだから、いつまでも飽きずに桧山を見つめ続けてしまう。  椅子から二、三歩離れ、桧山とは(はす)向かいになるよう、立つ。  うん。この辺でいいかな?  目線を合わせなくても不審がられない絶妙な角度を選んだ。雪が運んでくる冷気が顔の火照りを鎮めてくれるのを願いつつ、桧山から離れる口実にした話題を口にする。 「明日から、二日間、部活が休みだろ? で、これは僕と静流先輩とで話し合ってたことなんだけど。明後日、静流先輩と智穂と僕たちの四人で、慰労会をしないか?」
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