前編 『狩るエタラカと吼えるウォセ』

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「ウォセ君ね、どっちがチビかはこの際どうでもいいからさぁ、早いとこ君も謝ってくんないかなぁ、僕困っちゃってんだよね」 「わ、わかったよ、わかったって。そう怖い顔すんなよ……」 「フォッフォ……よいよい、今日はエタラカに会いに来たんじゃが、おらんようじゃし大人しく帰るとするわい」 「え?エタラカと知り合いなの?」 「ウォセ!!」 「エ、エタラカと……知り合いなんでございますですか?」 「フォッフォッフォ……。知り合いと言えば知り合いじゃな、この森全ての獣がワシの知り合いじゃ。ウォセ、お前のことも生まれた時からよーく知っとるぞ」 「えーほんと!?じゃあオイラの母さんの事も知ってるんですか?」 「レラか……もちろんじゃとも。そなたの母は、聡明で純粋で……まるでこの森の泉のようじゃった。そなたに伝えねばならぬ大切な事もあるがの、今はまだその時ではないようじゃ。勇健に育てよ山犬の子よ」 「ありがとうシアプカ様、いつかまた母さんの話聞かせてね……」 ピリカが叫ぶ。 「帰り道、お気をつけてー!」 「大丈夫じゃ、森の獣にワシは殺せん。ワシを殺すとすれば、人間くらいのもんかの……」 シアプカはそう言うと、森の奥へと消えていった。
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