前編 『狩るエタラカと吼えるウォセ』

6/7
前へ
/28ページ
次へ
「あーービックリした! 語りべ様なんて、オイラ初めて会ったよ」 「ビックリしたのはこっちだっつうの! ウォセ、お前ちょっと話し方を知らなすぎるぞ。 まぁ一緒にいるのがあのエタラカさんじゃー無理ないかもしれないけどさ」 「そうかなぁ、オイラそんなに変わってるか?」 「自分で気がついてないようじゃあ、よっぽど重症ってことだね」 「言ったなピリカ!!」 (ガサガサ……) (!?) その時、ウォセの背後の茂みから草木を掻き分けるような音がした。とたん、ピリカの顔が青褪める……。 「どうしたんだよピリカ、そんなおっかない顔して? またシアプカ様か?まだ何か御用で……す……か」 振り返ったウォセの眼前には、生涯で初めて見たであろうヒグマが立っていた。それもただのヒグマではない、体長三メートルに届こうかという隻眼の巨熊であった。 「グウォフー、グウォフー……フー!!」 「ピ、ピリカ?」 「う、動くなウォセ!こいつの名はアムルイ、人間どもは神なんて崇めちゃいるけど……この森の……悪魔だよ」
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加