第3章 県大会

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荒木中学校サッカー部の優勝で幕を下ろした地区予選大会からしばらく時が経ち、智也達は住み慣れた離島から離れ鹿児島県本土に来ていた。 「しっかし、離島だから仕方ないけど、毎度毎度移動で船か飛行機ってしんどいな」 自分たちが利用した移動手段を思い出して愚痴をこぼす智也。 離島の中学校なので仕方ないと思いつつも、船なら半日もかかる旅路は結構な負担だ。 そんな不満をもつ智也とは違い、鹿児島県本土についてからずっとはしゃいでいるのは、智也以外では唯一の一年生レギュラーの和也だ。 もともと本州から引っ越してきた智也とは違い、離島でずっと暮らしてきた和也からすれば鹿児島県本土に行ける機会など、学校行事の修学旅行か部活の遠征ぐらいなので、テンションは上がり続けている。 「そういえばさ、うちの中学って去年からずっと地区1位だったんだよな?」 「そだよー」 「じゃあ、今のチームなってからも県大会ってきてると思うけど、どれくらいの成績なのかね?」 ふと疑問に思った智也は、近くではしゃいでいた和也に問いかけた。 すると和也は智也の方を向くと、いつもの人懐っこい笑顔で言葉を発した。 「新人戦の時はベスト8だったかな?」 「へー、じゃあ割と上位なんだな」 和也の答えに納得した智也は、明日から始まる県大会が楽しみだと内心思いつつ手元にあるトーナメント表に視線を落とした。 (学校名見ても全然わかんないな、とりあえず県大会での目標は優勝と得点王だな) トーナメント表に記されている学校名を見てもあまり知っている学校がないことに気づいた智也。 どんな強敵と戦えるか、自分は県大会でも通用するのか、と様々な思いを抱きつつ改めて気合いを入れ直すのだった。
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