第1章 天才というか怪物

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一年生を交えての初めての朝練は、三年生8名、二年生12名、一年生14名の総勢34名で開始された。 学校が始まるまでの短い時間しかとれない朝練は、夕方しかこれない監督の都合もあり、決められた2つのグループメニューをすることになっている。 34名を17人の2組にわけ、A組は走り込みなどのフィジカルトレーニングをし、B組はボールを使ったボールを使ったパス練習などを中心に行われる。 A組とB組は1日交代で入れ替わり、智也はフィジカルトレーニングメインのA組に割り当てられた。 「んじゃ、今日も朝練時間は短いからさっさと始めるぞ。とりあえずはいつも通り2人1組になってダッシュからスタートな」 柔軟体操などしっかりして体をほぐすと、A組リーダーのキャプテンである裕太が指示を出す。 2人1組で組むと1組だけ3人組ができることになるが、タイム計測係として裕太が余り役をする。 ダッシュにはもちろん参加はする。 「おーはやいな」 しばらくしてメンバーみんなが一回はダッシュを走ったところで、裕太は記録したタイムを見ながら感心したように呟いた。 中学生で成長期などの関係もあり、やはり三年生や二年生が上位のタイムを占める中、一年生の智也がトップのタイムを叩き出していた。 (正確ではないとはいえ、約50メートルを6秒ちょっとって速すぎるだろ) 手動で、しかも正確な50メートルではないとはいえ、中学生で6秒前半はかなり速い。 中学生一年生だと考えると、全国でも速い方になるのではないだろうか? 日頃の放課後練習でも速いとは思っていたが、改めてタイムにするとこんなに速いのかと、正直驚きを隠せない裕太だった。 そしてその後も智也は、一年生にもかかわらず部内トップクラスのスピードやパワーがあることを証明するように練習をこなしていく。 (なんかA組は陸上部みたいだよなー、早くボール蹴りたいな) そんな結果を残している智也は、パス練習などをしているB組を羨ましそうに見ている。 そんなこんなで智也にとって最初の朝練は何事もなく終了した。 その後授業などを終らせ、ようやくボールを扱える放課後練習の始まりだ。
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