第1章 天才というか怪物

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そんなエゴイストなプレイヤーな智也だが、結果を出し続けてワガママを貫き通してきた。 しかし、意外なことにチームメイト達との仲は良好である。 今日も練習が終わり、小学生時代から続けているインサイドやインステップなどのフォームチェックをしている智也を見つけたチームメイトの1人が声をかけてきた。 「いつもやってるけどそれなんか意味あるの?」 「うーん基礎練習と似たようなもんだよ。走りながらとか体ぶつけられながら蹴るとさ、やっぱ変なフォームなったりするから毎日練習後に基本のフォームを反復して体が忘れないようにしてんの」 声をかけてきたのは一年生で中盤のプレイヤーである三浦和也だ。 和也は智也の答えに対してへーっと感心したように反応はするが、そんなことよりシュート練習とかしたほうがいいんじゃないのかなー?と思っていた。 「よし、今日の確認おわりっと。帰ろうっか」 「おー帰るかー」 それからフォームチェックを終えた智也は、和也と帰り支度をすると2人で下校する。 同じクラスで比較的家が近所な2人は、一緒に下校しながらサッカー部について話し始めた。 「そういえばさ、来週も練習試合あるのかな?」 「あるんじゃね?先輩たちの話だと土曜か日曜のどっちか練習試合か紅白戦やるみたいな話だったし」 智也の疑問に和也が答えたように、荒木中学サッカー部は休日の練習では基本的に土日のどちらかが紅白戦、もしくは練習試合することになっていた。 離島でなかなか試合経験が積めないサッカー部のことを考え、社会人チームや地元の高校などに安藤が頼み込み練習試合を組んでいるのだ。 そして、前回の練習試合ではまだ仮入部期間だったため、一年生は試合の見学しかできなかった。 「今回から一年生も参加できるんかな?」 「多分参加できるんじゃない?メンバーに選ばれるかはわかんないけどさ」 「智也は確定じゃないの?」 そんな話をしながら帰宅した2人。 そして正式入部して約一週間が経ち、一年生にとって初めての中学サッカー部としての練習試合の日を迎えた。
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