出会い

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 言いながら、体を丸めるミーコ。言葉とは裏腹に、本気で怒っているわけではないらしい。その偉そうな口調とは真逆の可愛らしい仕草に、裕太は思わず微笑む。そして―― 「ねえミーコ様、俺と友だちになってくれないかな?」  気がつくと、そんな言葉を口にしていた裕太。すると、ミーコは顔を上げた。 「何をバカな事を言ってるニャ。あたしは、人間なんかとは友だちにならないニャ」 「あの……俺、みんなと仲良くできなくてさ。どうしても友だちが出来ないんだよ。どこに行っても人と揉めちまうんだ……」 「お前はアホだニャ。友だちなんか居なくても、暮らすのに困らないニャ。長いものには巻かれて、みんなの言うことにヘラヘラ笑って従っていればいいんだニャ」  言いながら、ミーコは関心なさそうに毛繕いを始める。裕太は顔をしかめた。 「俺はそんなの嫌だ。間違っているのは、あいつらの方だ。あいつらは、下らない心霊番組に騙されてるんだ――」 「何が間違っているニャ? 心霊番組が嘘であろうが無かろうが、お前の人生には関係ないニャ。そんな下らないことで、いちいち言い争うなんてアホのすることだニャ」  ミーコの言葉に、裕太は悔しそうな表情で下を向いた。 「だってよぉ……」 「お前は、本当にアホだニャ。下らん言い合いなんか、適当に負けておけばいいんだニャ。人は信じたいものを信じる、それだけだニャ」  そう言うと、ミーコは裕太のそばに寄り添った。 「仕方ないから、今夜一晩だけお前の友だちになってやるニャ。言いたいことがあるなら、全部聞いてやるニャ」
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