再会

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 確かに、そうなのだ。他人がどう言おうが、関係なかった。自分にとって、ミーコとの思い出は宝物にも等しいものだったはず。  それなのに――  うつむいている裕太に対し、ミーコは語り続ける。 「他人がどう思おうが、関係なかったニャ。他人に信じさせる必要もなかったニャ。お前は、大人になってもアホのままだニャ。まあ、今さら言っても遅いけどニャ」  素っ気ない態度で言い放つと、再び毛繕いを続けるミーコ。裕太は、そのあまりにマイペースな態度を前にして思わず笑ってしまった。 「お前は、相変わらずだな」 「お前とは何だニャ! あたしは五百年も生きてる化け猫だニャ! 相も変わらず、失礼な小僧だニャ!」  言葉と同時に、尻尾で床を叩くミーコ。ビシャリという音が、静かな室内に響く。  しかし、裕太はお構い無しだ。今さら、恐れても無意味なのだから。 「なあミーコ、頼みがあるんだ。あの時みたいに話相手になってくれよ……一晩くらいいいだろ?」 「まったく、しょうがない奴だニャ」  言いながら、ミーコは裕太に寄り添う。  そして、二人は語り明かした……二十年前と、全く同じように。  コツ、コツ、コツ――  数時間後、廊下を通る足音が聞こえてきた。既に陽は昇り、朝になっている。  裕太は覚悟を決めていた。夜中にミーコが、彼の部屋を訪れた理由……それは今日が、裕太の番だからだ。ミーコははっきりとは言っていなかったが、あの態度からして間違いないであろう。  だが、彼には不安も恐れもない。ここに来て以来、初めて清々しい気分で朝を迎えられた……。  ミーコ、本当にありがとう。  お前に会えて良かった。  裕太は、心の中で呟いた。澄みきった気持ちで、足音を待つ。  そして予想通り、足音は裕太の部屋の前で立ち止まった。  ガチャリという音。ついで、金属製の扉が軋みながら開かれた。 「称呼番号二〇八七七一番、守山裕太」  扉を開けた者は、重々しい口調で言った。 「本日、死刑を執行する」
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