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「つらい目にあわせてしまって、ごめんなさい」
病室で、沢山の果物が入ったカゴを持ったおばさんは私にそう言った。
「けれど、あの子もわざとやったんじゃないのよ。あれは不慮の事故なの」
「……」
必死に謝ってるのはわかるけど、正直黙れと思った。
高校の部活から帰ってる途中、突然車のフラッシュが私に迫った。
それからの記憶がない。
目を開けると、そこには母さんやお父さん、珍しくいとこのおばさんがいてみんな、
「ああ、目覚めてくれた」
「よかったよかった」
なんて口々に言ってて。
そして、違和感を感じた。
私の左手の方を見ると、その腕は包帯でぐるぐる巻きにされてて、そして、途中からがなかった。
左腕がない。
――この事実。
正直、今でも受け入れきれてない。
腰や背中も大分、怪我してて。
でも、左腕程ではない。
だって、いつかは治るものだから。
みんなは涙して、ああよかったなんて言ってるけど、私からすれば全然よくない。
命あっての物種?
生きていればいいことある?
そんな奇麗事で解決しないで。
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