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オカンはお腹をポンポンさすりながら晴樹に言った。
「今もたまに疲れやすい時があるから、晴樹クンや夏目クンみたいに頼りになる友達がいて、あたし達もあんしんだわ‥‥
変わった娘(ムスメ)だけど、よろしくね‥」
オカンの苗メモリーズを聞き終えると、タイミングよく苗が大きなガラスの器に入った素麺を持ってきた
薬味も色んな種類が揃っている‥‥‥
そして、晴樹はこの日、初めて素麺を目にするのだった‥‥
「これ‥どうやって食べるんだ?」
「え‥兄さん、素麺初めて食べるの!?」
苗の言葉に田中家一同が驚く。
「食べ方はお蕎麦と同じだょ‥」
苗はそう言って食べ方の見本を見せた。
苗を真似て水の中を泳ぎ回る素麺を晴樹は箸で追い回す‥だが、中々掬い取ることが出来なかった。
「兄さん、箸の握り方ヘタだねぇ」
「……っ…」
苗の言葉に晴樹はムキになって手を動かす。ただ、田中家の箸はツルツル滑る竹の箸だ。
晴樹にはとても使いこなせる物のではない。
晴樹はチラリと陸達の手元を盗み見た……
我先にと器用に素麺を摘まんでは、麺をつゆに浸して小気味よく啜る音を立て、繰返し口に運んでいく。
三人揃って動く様子はまるで工場の機械のように正確に揃っていた。
‥‥クソ〰っ…///‥
全然食えねえ…っ
晴樹はこの時初めて箸が使えない事に恥ずかしさを覚え、苗は見かねてそんな晴樹のつゆ皿にわざわざ素麺をとってあげていた……。
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