喪中ハガキ

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喪中ハガキ

 中学生の時、年末に友達の家から喪中ハガキが届いた。  おじいさんが亡くなったので、新年の挨拶は控えさせてほしいとあったが、友達の家のおじいさんは俺の家の三軒隣に住んでいて、ハガキが来た時にはびんぴんしていた。  翌日学校でこのことを話したら、ちょっとしたイタズラだと言われたが、内容が内容なので、もうやるなよときつく注意した。  その数日後、友達の家のおじいさんが亡くなった。  特にどこかを悪くしていたということもなかったが、かなりの恒例だったので、寿命ということでみんな納得した。  それから数年。  この友達から、また喪中ハガキが届いた。  今度は父親が亡くなったという内容だったが、そこそこ近所なのに葬儀の話なんて聞きもしない。その状況でハガキだけが先に届くなんておかしい。  そう思って問い詰めると、またイタズラをしたと白状した。  その数日後、友達のお父さんは亡くなった。  持病などはなかったし、事故に遭った訳でもない。完全な突然死だ。  俺は、もしかしたらあのイタズラのせいなんじゃないかと思ったが、悄然としている友達にさすがにそれを言う気はなくて、思いつきは心の中に留めておいた。  あれからさらに数年が経ち、友達の家からまた喪中ハガキが届いた。しかも今度は、亡くなったのは友達自身だ。  あまりに性質が悪いと思い、すぐに電話をかけたら、これに関しては全く身に覚えがないという。  今まできちんと聞いたことはなかったが、父親が突然死した後、俺同様、自分のイタズラが何かの原因なのではと思い、反省しまくって、もう金輪際こんなイタズラはしないと誓ったらしい。  電話越しでも声の本気度は伝わって、俺は友達の言い分を全面的に信じた。  でも、だとしたら、この喪中ハガキを出したのは誰だろう。  そして、亡くなった二人の死因がハガキと関連があるとしたら、友達はどうなってしまうのだろう。  過去の例を振り返ると、友達に残された時間はあと数日ということになるが…二度あることは三度あるにならないようにと、祈るくらいしか俺にはできない。 喪中ハガキ…完
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