榊の気まぐれ

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________________ __________ 「う……あ……ぁ……」 暗闇の底に居るような感覚……そこから這い出でるイメージで目が覚めた。 と、ぼやけた視界に映り込む『少女』の顔…… 少女…… 「うわああっ!?」 「おお、目が覚めたか?」 何!?何事!? なんで助けた少女が俺の顔を覗いてるの!? 「えっと……驚かせちゃった……かな…… ここは病院?」 「死後の世界だ」 「あ、病院なんだ。お見舞いにきてくれたの?」 「死後の世界だ」 「へー、あれから何日たった?」 「時間など1秒も経験しておらん。君は死んでいるのだからな」 ウソダドンドコドン! ……とは言っても、まぁ……あの状況なら死んでるのが普通だよな…… ん?ここが死後の世界ってことは 「君!君も死んじゃったのか!?」 「あ、いや、私は死んでいない。むしろ君を殺してしまった方なんだ」 「……え?」 「説明すると長くなるな……まずはじめに、私は普通の人間ではない。 こうすれば分かるだろうか?」 すると少女の身体はどんどん『成長』していき、やがて大人の姿へと変貌した。 美人、圧倒的美人である。 「あ、あんた一体……」 「私は榊。そしてようこそ、『私の気まぐれ』よ」 「は……?いや、あの、全然わかんないっす」 「だろうな。だから説明するんだ。 ……三行で纏めるか、長い話を聞くか、どちらがいい?」 「あ、三行で」 「うん、その方が助かる。私も長話は苦手なんだ……では行くぞ 私ひま そうだ、私の世界に誰かを呼ぼう 気まぐれで君が選ばれた 理解したか?」 いいえ、まったく。 いきなり現れて『気まぐれで殺しちゃいました』なんて言われても…… 「……分かっていないな、その顔は」 榊は大きく溜め息を吐いた。
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