榊の気まぐれ

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「ごほんっ……君、強くなりたくはないか?」 「いきなりなにを?」 「いいから答えてみよ」 「そりゃまあ、俺だって男だし?もちろん強くはなりたいぜ?」 「ふふ……では、私と組手をしてみないか?」 「まじでいきなり何を!?」 「私は君を攻撃したりしないし、目も瞑ろう。 君の勝利条件は……そうだな、私に一撃でも当てることだ。私は君が参ったといえば勝利だ」 正直、何を言っているんだ、と思った。 そもそも俺は男であっちは女、その上目隠しではどう考えても勝負にすらならない。 「おいおい本気か?」 「本気を出せば君を殺してしまうからな、6京分の1で相手をしよう」 「……へーへーふーんふーんそっかそっかー!!へえぇええぇえぇぇえ……!!」 「やる気になったようだな。ほら、目を瞑ったぞ?好きなタイミングで始めるといい」 流石にこれは舐めすぎではないのか…… 当初は笑い飛ばすつもりでいた俺も、いつの間にかやる気の炎で燃えていた。 「よし、よーし……!」 よく見るとこの空間、何も無い。 床も、壁も。 そうなると上手くやれば音は出ず、つまり俺の動きを感知するのは困難。 「っしゃあまずは右ストレート!!」 ……と言いつつも左でローキック。 狙いは脛。 ちょっと汚いが、早速勝たせてもらうぜ! 「ふふっ……甘いな」 なあんて思ってた時期が俺にもありました。 何の事はなく、ひらりと華麗なバックステップでかわされるローキック…… どうやって感知したんだ?目を瞑り、なおかつ俺の声もでたらめなんじゃあ、かわしようがないはずだ。 「どうした?ほら、私はまだまだ元気だぞ」 「こんにゃろ……!!」 こうなったら絶対泣かせてやる!! 泣かせて____________
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