第一戦

榊の世界

とある『赤い世界』の普通の家……

そこで今日、新たな命が生まれた。

「あなた、見て。元気な男の子よ」

「おおっ！男か！そうか、そうか！」

赤い髪と瞳の、見かけ20代後半の夫婦は、心底喜んだ。

「おぎゃー！んぎゃーー！！」

「おうおう元気なことだなこいつあ！」

「ねえあなた、女の子なら私、男の子ならあなたが名前を決める約束よね？
つけてあげて、とびっきりいい名前を……」

「ん？んーー……そうだな……」

男は少し悩む素振りを見せ、考え始める。

「……もいいし、こっちも……いやこれは…………」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

結局10分ほど考え、ようやく頭を上げた。

「……いや、壽！壽だ！
この子の名前は『榊 壽(ことぶき)』に決める！」

「うふふ……いい名前ね……
ほら壽、パパが名前をつけてくれましたよ」

女は赤ん坊に話しかける。

すると、その声が届いたのか、赤ん坊はきゃっきゃと楽しそうに笑った。

「あら、見て！壽が笑ったわ！」

「おお……俺達の言葉がわかるのか……
こいつはもしや、将来とんでもない大物に化けるかもしれんぞ……？」

＿＿＿＿転生、無事成功

第二の人生、開幕＿＿＿＿。