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時刻も先ほどと変わらないように見える。しかし・・机の上にあった紙袋が無くなっている。
そして僕の隣には母と担任の先生。そして同級生が3人並んでいた。
先生は母に頭を下げる。
「本当に申し訳ありません・・・私の責任です」
その担任の謝罪に対して、母は何も言わなかった。多分何か言いたいのだとは思う。だけどそれを押し殺して黙っているようだ・・
同級生達はただじっと俯いている。みんな少し震えているように見える。
母はじっと押し黙っていたが・・何かの糸が切れたように叫ぶ。
「もう帰ってもらえませんか!どんなに謝ってもらっても・・私はあなた方を決して許しません!!」
普段大人しい母が、こんな感情的に叫ぶなんて珍しい・・・
母の叫びを聞いて、同級生の一人が前に出る。そして勢いよく土下座する。
「すいませんでした・・・・」
絞るように出した声は力なくかすれていた。
その同級生につられて他の二人もそれに続く。
3人は土下座姿で謝罪している。しかしそんな姿にも、母は強固に態度を変えはしなかった。
あの優しい母が・・僕はそれが信じられなかった・・
それほどまでに母が怒るなんて・・
僕にいったい何があったのだろうか・・しかしどうしてもその記憶を思い出すことができなかった・・
思い出したかった・・僕はどうしちゃったんだろうか・・それを必死に考える。
考えれば考えるほど、どんどん不安と苛立ちが募ってくる。
居ても立っても居られなくなり、僕はもう一度病室を出ようとする。
同じようにドアノブを握り、そしてドアを開く・・
開いた先は、先ほどと同じ病室でだった・・だけど・・
僕はそこに居なかった・・・
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