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僕は僕を探す・・先ほどと変わらない病室だけど・・・ベッドには誰も寝ていない・・・僕はどうしたんだろうか・・・
妙な想像が浮かんで恐怖が膨らんでいく・・・その大きくなった恐怖が僕の胸を締め付ける・・・
「僕はもしかして・・死んじゃったのか・・・」
誰もいない静かなベッドを見つめながら呆然とする。しかしその恐怖の静けさは唐突に終わる。
ガチャ!
騒がしい雑音と同時に病室のドアが開く。数人の看護師がストレッチャーで人を運んできたようだ。
ストレッチャーに乗っている人物・・それは僕だった。
四人で四方を囲み、掛け声と同時にベッドへと移す。少し強引にベッドに移された僕は、酸素マスクをつけられ、そのまま静かに息をしていた。
医者の先生らしき人が、一人の看護師に話しかける。
「胃の洗浄は終わっているけど、薬の量が多くて容態がどう傾くかわからない。しばらくは注意してみていてくれるかい」
「はい。わかりました」
看護師は神妙にそう答える。
(薬・・・胃の洗浄・・・)
僕は薬を大量に飲んだようだ・・・そうか・・僕は自殺しようとしたんだ・・・だからここにいるんだ・・
でも・・おかしいな・・僕は今初めてここに運ばれてきたみたいだ・・前に見ていたのはなんだったんだろう・・・
もしかして・・時間が戻っていってる?
そう考えれば辻褄が合う。
あの病室のドアを開くと、時間が戻っていくようだ・・・
でも・・今はこの病室に来て一番最初のようだけど・・今度あのドアを開くとどうなるんだろう・・・
僕はそっとドアノブを握る。
少しだけ躊躇したけど、そのまま力を入れてドアノブを回した。
ドアは開かれ、そして僕は・・・
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