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苦しい・・どんどん息苦しくなっていく・・・僕はこのまま死んでしまうのかな・・・もう何も見えなくなっている・・・体の感覚がなくなってくる・・
でも死なないよね・・僕は僕が入院しているのを見ているから・・
でも・・あれは現実だったんだろうか・・・この苦しい状況が見せた幻だったんじゃないだろうか・・そうだとすれば・・
嫌だ・・死にたくない・・死にたくないよ・・
そうだ・・僕は死にたくないんだ・・・僕は一人じゃなかったんだから・・・
「た・・だ・・で・・」
言葉になっていない、小さいか細い声で僕は助けを求めた。
しかし誰も助けてはくれない・・
僕はこのまま死んじゃうんだ・・・
しかし・・感覚の無くなった体に、少しの異変が起こった・・・右手が少し温かくなる・・・何かに包まれてるように温度を感じる・・僕は必死にその感覚にすがるように右手に意識を集中する。
すると体全体にその温度は広がってくる・・・右手から肩へ・・そして体に足に左手に・・伝染していくように温度は広がる。そして・・頭部にその暖かさが伝わった時・・・僕の視界が少しづつ開けてきた・・・それは最初は横に書かれた細い光の線のようだった・・その線が少しづつ広がっていき・・最後には僕の瞳に光が戻っていた。
開けた視界の先には、母さんが涙を浮かべて僕を見つめていた・・・
母さんは僕の右手を強く握りしめている。
「おかえり・・」
僕はその言葉に小さな声で答える。
「ただいま・・」
窓の外には、爽やかな日差しと綺麗な音たちが騒がしい・・おそらく時刻は早朝だと予測できた。
目覚めの朝である。
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